8月のサンガクシャ

「大東亜戦争」が終わってから71年になります。
その年わたしは国民学校5年生で長野県岡谷市に疎開していました。
男たちが戦地に行ってしまったので
わたしたちは毎朝4時に新聞販売店に集合して「信濃毎日新聞」を配りました。
14日に「日本は負けたそうだ」という噂が流れましたが信じる者はなく、
議論の末「明日の新聞を見ればわかる」ということになりました。
ところが翌日の新聞には、
第一面に「かしこくも終戦の断を下し賜ふ」という大見出しがあるだけで、
日本が負けたともアメリカが勝ったとも書かれていませんでした。
やはりデマだったんだと思って登校したわたしたちは、
昼の放送で敗戦を知りました。
その日と同じ夏雲が八ヶ岳の上に湧き上がっています。


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